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サステナブルファイナンス

サステナブルファイナンス(Sustainable Finance)は、持続可能な社会を実現するために資金を活用する金融活動の総称です。これは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の課題を解決するために、投資、融資、資金調達などの金融手段を用いることを指します。以下にその概要と重要な要素、および具体例を示します:

概要

  • 目的: 気候変動、生物多様性の喪失、社会的不平等などのグローバルな課題に対応し、持続可能な社会の構築をサポート。
  • 手段: グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティリンクローン、インパクト投資、ESG投資など。

重要な要素

  • ESG要素の統合: 投資や融資の意思決定に、企業がどのように環境・社会・ガバナンスの問題に対処しているかを考慮。
  • 透明性と説明責任: 資金の使途やそのインパクトについての情報開示が求められます。
  • インパクト評価: 投資や融資がどのように社会・環境に影響を与えるかを測定・評価。

具体例

  • グリーンボンド: 環境に良い影響を与えるプロジェクト(再生可能エネルギー、省エネ、クリーン交通など)に資金を提供するために発行される債券。
  • ソーシャルボンド: 社会的課題(雇用創出、教育、医療アクセス改善など)に取り組むプロジェクト向けの債券。
  • サステナビリティリンクローン: 企業のサステナビリティ目標達成に連動した金利設定がなされるローン。目標達成で金利が優遇される。
  • インパクト投資: 投資の結果として明確な社会・環境的インパクトを目指す投資。リターンとインパクトの両方を追求。
  • ESG投資: 企業のESGパフォーマンスを評価し、それを投資決定に組み込む。

日本での動き

  • 政策と制度: 金融庁や環境省などがサステナブルファイナンスを推進する政策やガイドラインを策定しています。例えば、グリーンボンドガイドラインやクライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針。
  • 企業の取り組み: 多数の日本の金融機関がサステナブルファイナンス商品を取り扱い、投資家や企業にESG情報を提供しています。
  • サステナブルファイナンス有識者会議: 金融庁が主導し、持続可能な社会を支える金融システムの構築について議論する場。
  • グリーンボンド
  • 東京都のグリーンボンド: 東京都は、2017年に日本で初めての自治体グリーンボンドを発行。資金はエネルギー効率化や再生可能エネルギープロジェクトに使用されました。
  • トヨタファイナンシャルサービス: 2020年にグリーンボンドを発行し、電気自動車(EV)の普及促進や省エネ技術の開発に資金を充てることを明示。
  • ソーシャルボンド
  • 日本政策投資銀行: 2016年に日本初のソーシャルボンドを発行。資金は地域再生や子育て支援、障害者雇用支援などに使用されました。
  • サステナビリティリンクローン
  • 丸紅: 2020年にサステナビリティリンクローンを導入。サステナビリティ目標(CO2排出量削減など)を達成することで、金利が優遇される仕組み。
  • 三井物産: 2021年にサステナビリティリンクローンを締結。目標は再生可能エネルギーへの投資拡大で、達成により金利が引き下げられます。
  • インパクト投資
  • 日本財団: ソーシャルインパクトボンドの一環として、社会的課題解決に取り組むNPOやスタートアップへの投資を行っています。例えば、難病児のケアや地元経済活性化など。
  • Creww株式会社: 「SDGsビジネス創出支援プログラム」を通じて、スタートアップがSDGsに関連するビジネスを立ち上げるための資金やサポートを提供。
  • ESG投資
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG): ESG投資の推進に力を入れ、環境や社会貢献に積極的な企業への投資を通じて持続可能な社会の形成を目指す。
  • 大和証券投資信託委託: 「ダイワ ESG ファンド」などの商品を提供し、ESG評価が高い企業への投資を行っています。
  • その他
  • グリーンプロジェクトファイナンス: 例えば、東京電力リニューアブルパワーが大型の風力発電プロジェクトのためにグリーンプロジェクトファイナンスを活用。
  • サステナブル投資ファンド: 例えば、SBIホールディングスが運用する「SBI ESG・SDGsファンド」は、ESGリスクを考慮しながらSDGs達成に貢献する企業に投資。
  • カーボンクレジット: 企業がCO2排出削減プロジェクトに投資し、その結果得られるカーボンクレジットを取引する。これも一種のサステナブルファイナンス。
  • これらの具体例は、金融市場におけるサステナブルファイナンスの多様性と実際の応用を示しています。各種金融商品やサービスが、環境や社会の持続可能性に向けた活動を支え、投資家や企業がその取り組みに参加できるようにしています。

世界的なトレンド

  • EUのサステナブルファイナンス行動計画: EUはサステナブルファイナンスの枠組みを強化し、企業や投資家に対する情報開示義務を増やしています。
  • TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース): 気候変動のリスクと機会に関する企業の開示を推進する国際的な枠組み。

サステナブルファイナンスは、持続可能な開発目標(SDGs)達成や、気候変動対策といった大規模な課題に対処するための重要な金融ツールとして認識されています。経済活動が持続可能なものとなるよう、金融セクター全体でその重要性が増しています。

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