ソーシャルグッドな事業分野はどんなものがある?

社会起業と密接なかかわりがある「ソーシャルグッド」。ではソーシャルグッドな事業分野はどんなものがあるのでしょうか。ソーシャルグッドな事業分野は、社会や環境にポジティブな影響を与えることを目指すさまざまな領域に広がっています。以下にいくつかの主要な事業分野を挙げます:
1. 教育
- 学習機会の提供(特に経済的・地理的に不利な立場の人々向け)
- オンライン教育プラットフォーム
- スキル開発や職業訓練
たとえば
- Khan Academy: 無料のオンライン教育リソースを提供し、特に教育資源へのアクセスが限られている人々に学習機会を提供。
- Teach for Japan: 優秀な若者を教師として地域の教育格差解消に従事させる。
- みんなのコード: 学校でのプログラミング教育を推進し、子どもたちがデジタル社会で活躍できるように支援。
- NPO法人CANVAS: 東京都内の公立中学校で、生徒たちが社会課題を学び、自ら解決策を考える “Social Innovators High School” プログラムを運営。
2. 健康とウェルビーイング
- アクセス可能な医療サービス
- メンタルヘルスのサポート
- 健康的なライフスタイルを促進するアプリやサービス
- One Medical: 初診料無料の医療サービスやオンライン診療を提供し、手軽に健康管理ができるように。
- Mind: メンタルヘルスに関する情報提供とサポートサービスを提供。
- NPO法人メイクハッピー – め組JAPAN: 災害支援を中心に活動し、被災地でのボランティアや復興支援を提供。
- NPO法人クロスロード: 難病の子どもたちやその家族のためのサポートを提供し、医療・福祉サービスの充実を目指す。
- NPO法人フローレンス: 待機児童問題を解消するための病児保育や、シングルマザーの支援、子育てシェアなどを行っている。特に、看護師や保育士を派遣して病気の子どもを一時的に預かるサービスが特徴的。
3. 環境保護
- 持続可能なエネルギーソリューション(再生可能エネルギー)
- 廃棄物削減、リサイクル、循環型経済
- 自然保護活動(森林保護、野生動物の保護)
- Ecoalf: 再生可能な素材から作られたサステナブルなファッションアイテムを提供。
- TerraCycle: 廃棄物のリサイクルシステムを構築し、一般的にリサイクルできない製品も回収。
- EcoShip: 船舶の排出ガスを削減する技術を開発し、海洋汚染の防止に取り組む。
- Green Bird: リサイクル素材から作られた製品を扱い、環境負荷を低減。
- エシカル消費推進協会: フェアトレードやエシカル消費を普及させ、持続可能な消費行動を推進。
- ビッグイシュー日本: ホームレスの方々が販売する雑誌を通じて、働く機会を提供し、環境問題を啓発。
- Plogging Japan: スウェーデン発のゴミ拾いとジョギングを組み合わせた「プロギング」を日本でも広める活動。地域の清掃活動を兼ねた健康増進と環境保護の実践。
- NPO法人 地球を楽しむ会: 「川の学校」や「海の学校」などのプログラムを通じて、自然環境を学びながら保全活動を行う。
4. 貧困と不平等の解消
- ミクロファイナンスやマイクロクレジット(小口融資)
- 社会企業(利益の一部を社会課題解決に投資)
- 公平な貿易(フェアトレード)商品の普及
- Grameen Bank: ムハマド・ユヌス博士が設立したマイクロクレジットを提供する銀行。特に貧困層の女性に融資。
- TOMS Shoes: “One for One” モデルで、靴を買うと子どもたちに靴を寄付
- Table for Two: 健康的な食事を提供しつつ、開発途上国の子どもたちに給食を寄付する取り組み。
- Katariba: 子どもたちの学びと成長をサポートするNPOで、特に震災後の子どもたちへの支援や教育機会の提供。
- ふわふわプロジェクト: 子どもたちに温かい食事を提供し、親同士の交流やコミュニティ形成をサポート。
- コープデリ生活協同組合連合会: 消費者と生産者が協力し、地元産品の流通やフェアトレード商品の普及を推進。
- フードバンク関西: 未使用の食品を集め、生活に困窮する人々や福祉施設に配布。具体的には、パントリー(食料品倉庫)を運営し、必要とする人々が直接来て商品を選べる仕組み。
- NPO法人D×P: 障害者の雇用創出を目的に、アパレル商品を製造・販売。障害者自身がデザインや製造に関わることで、働く喜びと社会参加を実現。
5. 技術とイノベーション
- テクノロジーを利用した社会問題解決(例:AIによる社会サービスの効率化)
- オープンソースプロジェクト
- デジタルインクルージョン(デジタルデバイドの解消)
- Ushahidi: 災害や人権侵害の報告を集約するオープンソースプラットフォーム。
- Code.org: 特に子ども向けにプログラミング教育を普及させるオンラインプラットフォーム。
- コード・フォー・ジャパン (Code for Japan): 技術者コミュニティが地域課題を解決するためにオープンデータやオープンソースの活用を推進。
- Bit Valley: 技術者コミュニティを通じて、社会的課題解決のための技術開発を支援。
- NPO法人LITALICO: 障がい者や発達障害のある子どもたちへの教育・就労支援を行い、ITを活用した個別最適化教育を提供。
- Tech for Good Japan: テクノロジーを通じて社会課題解決を目指す団体やプロジェクトを支援。
- FabLab Japan Network: 地域のファブラボ(デジタル製造工房)をネットワーク化し、誰でもアクセス可能な創造の場を提供。地域課題の解決に技術を使う取り組みを推進。
- NPO法人リバースプロジェクト: 障害者と健常者が共に働くカフェやレストランを運営し、そこで得た利益を社会課題解決のための新たな事業開発に投資。
6. コミュニティと社会結束
- 地域コミュニティの活性化(コミュニティセンター、地元経済の支援)
- 難民や移民の統合サポート
- 青少年や高齢者のためのプログラム
- Airbnb.org: 緊急時に宿泊施設を提供するプラットフォーム。
- GoodGym: 運動と地域貢献を結びつける、ランニングで高齢者訪問などを実施。
- 日本財団: 多岐にわたる社会課題に対してさまざまなプロジェクトを展開。例えば、海洋プラスチックごみ問題や障害者の社会参加の促進。
- NPO法人ETIC.: 若者が社会課題解決に取り組むためのプラットフォームを提供し、起業家精神を育む。
- ディセーブルド・スポーツ福祉協会: 障がい者スポーツの普及と地域コミュニティにおける障がい者の社会参加を促進。
- さくらコミュニケーション: 外国人住民と地元住民が交流できる場を提供し、地域の多文化共生を支援。
- NPO法人こども食堂全国ネットワーク: 子どもたちに無料または低価格で食事を提供する「こども食堂」の活動を支援し、地域のつながりを深める。
- NPO法人スマイルハート: 難病の子どもたちとその家族をサポートするために、施設やホスピスでの訪問や、キャンプの開催を通じて心のケアを提供。
7. 食糧安全保障
- 持続可能な農業
- フードバンクや食事提供サービス
- 栄養教育
- Too Good To Go: 飲食店の余剰食品を安価に販売し、食品廃棄を減らす。
- Farmers Friend: スマートフォンを使って小規模農家を支援するアプリ。
- フードバンク活動: 全国各地で食品の無駄を減らし、必要とする人々に食料を届ける活動。例えば、「セカンドハーベスト・ジャパン」。
- Kuradashi: 賞味期限が近づいた食品を安価に販売し、食品ロス削減に貢献。
- フードロスチャレンジ: 飲食店やスーパーで余った食材を安価に販売するアプリ「TABETE」を通じて食品ロス削減。
- シェアキッチン・プロジェクト: シェアキッチンを通じて地元食材の利用を促進し、地域の食文化を守る。
- NPO法人エル・シャダイ: 低所得者層や孤立しがちな高齢者向けに無料の食料配布を行う。特に、災害時にも迅速に対応し、食料支援を提供。
8. 人権と公正
- ジェンダー平等の推進
- 差別の撤廃(人種、宗教、性的指向など)
- 労働者の権利保護
- The Body Shop: フェアトレードコミュニティの商品を販売し、労働環境の改善に寄与。
- Equaldex: 世界中のLGBTQ+の権利状況をマッピングするサイト。
- 認定NPO法人難民支援協会 (JAR): 難民の保護と自立支援を行い、難民問題に対する理解と支援を広める。
- Peatix Japan: イベントプラットフォームを提供し、LGBTQ+コミュニティのイベントなど、多様性と包摂性を促進。
- ラブ・ピース・クラブ: 女性のエンパワーメントとジェンダー平等を推進する活動を行い、DV被害者支援も。
- Rainbow Pride: 日本のLGBTQ+コミュニティの活動を支援し、理解と包摂を促進する。
- 認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン: 災害救援だけでなく、ジェンダー平等や人権保護に向けた教育プログラムやキャンペーンを実施。
- NPO法人レインボー・アクション: 性的少数者の人々が自分らしく生きられる社会を目指し、LGBTQ+の権利向上や理解促進のための活動を展開。
これらの分野は相互に関連し、多くの場合、複数の分野が交差する形で社会的な善を追求する事業が行われています。ソーシャルグッドな事業は、営利を追求する一方で、社会全体のウェルフェアを向上させることを目指しています。

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